まるで拷問

夏の雑草はどれも広がり方が早い。中でもクズを筆頭に蔓性のものはたちが悪い。草刈機を使っても絡んでしまい、イライラが募る。

カナムグラもまた同じように夏の草刈りを阻止する蔓である。幸い今の圃場の周りでは見かけないのでありがたい。昔はかなりてこずらされた。

カナムグラと同属のホップもまた夏に苦労させられる植物である。カナムグラと見た目も、伸びようも良く似ているホップ。一度蔓がからむと、小さなトゲが引っ掛かってすんなりとは離れてくれない。まあ、そのおかげで色々なものに絡みやすくなっている。

ホップ
育苗している大苗は特に蔓の勢いも盛んで見る見るうちにとなりの株と蔓をからませる。さあ、注文が入った!と、苗をピックアップしようとしても、他のハーブのようにはいくわけが無い。蔓を傷めないように一つ一つほどいていかねばならない。夏の日差しがふりそそぐビニールハウスの中で、この作業はほとんど拷問に近い。汗は滴り落ち、メガネを曇らせ、さらに頭に血を上らせる。いっそ、蔓をバッサリ切ってしまいたい衝動に何度も駆られてしまう。

お願いです。ホップはまだ蔓の伸びがゆっくりしている頃に御注文御願いします。

こっちを向いて

お客様の依頼で庭作りをする時、しばしば希望があるのが目隠しという要望である。第三者から見ると、それほど気にしなくても・・・と思えるような場所でも、御本人にとっては案外気掛かりだったりするようだ。

このお庭も、南側が月極駐車場になっている。朝夕以外車の出入りは無いようだが、フェンスも高めに作られ、下の金網部分も植物で覆って欲しいとの御要望があった。

クレマチス、ブルーベルクリーパーフレンチラベンダーなどを手前に植えて、2年目には程よい目隠しができ上がった。

ブルーベルクリーパー

当初の目的は達成したものの、クレマチスが花をつけるのはほとんど駐車場側。フレンチラベンダーさえもフェンスを突き抜け、駐車場に向けて花を咲かせるようになってしまった。

「地域の景観向上に貢献していると思って・・・」
と弁護しつつも、駐車場側ばかり華やかなのを見るとさすがに心苦しい。

唯一ブルーベルクリーパーだけが家側に向けて花を咲かせてくれるので胸をなで下ろしている。最初はこの株も成長がゆっくりだったが、いったん成長を始めると一気に伸びて良い目隠しとなるとともに、ちょうど暑さが気になりはじめた頃に涼やかなブルーで目を楽しませてくれるようになった。

ブルーベルクリーパー

もちろん、お庭のオーナーにも大変好評だ。でも、この株の成長を一番喜んでいるのはきっと自分である。

惜しむらくは、なかなか増やしにくいこと。もっとたくさんの方に楽しんでいただければいいのだが、現在も育苗中だ。あと、物の本によると花の後の果実が食べられるとのことだが、今まで食べてみた経験では美味しくなかった。味を良くするコツとか食べ方があるのかも知れないが、???のままである。

育て加減はいかほどに

植物はその環境で育ち方が大きく変わる。バジルのような一年草ならなおさらはっきりと表れる。下の写真、いずれも同じスイートバジルである。種子を蒔いた時期も同一。用土・肥料も全く同じ。ただ、違うのはポット上げしてからの置き場所と管理だ。

スイートバジル

左は午後から少し陰になるような場所で水もやや多め、右は一日中しっかり日が当り、水は他のハーブ苗と同様、やり過ぎないようにして育てたものである。

どちらが良いかというと・・・・。結論は出ない。店頭に出せば、お客様が手に取るのはまず左のほうである。見た目も明らかに美味しそうだ。ただ、このまま植えると、風でも吹けば頭が重いためにすぐに倒れてしまう。とりあえず一度すぐ収穫するのが前提である。

右のほうは見た目もいまいち。葉も硬そうだ。でも、過酷な場所に植えても、こちらのほうが絶対活着が良い。

植えてもらって、うまく育つ方が良いか、まず手に取ってもらえる方が良いか、苗を作る側としては迷うところである。

いずれにせよ、どちらの苗も、今後の育て方によって葉を柔らかくも硬くもできる。

柔らかくするには水を切らさないように、肥料も多め、収穫をこまめにして新芽を次々出せばよい。若干遮光しても良いだろう。葉は柔らかで大きく、つやが有り、丸みを帯びる。香りも柔らか、まさに「スイート」なバジルになる。生でサラダに入れるのなら食感もよいし見た目も良好だ。そのかわり、水を切らすとしおれやすいし、バッタなどの被害にも合いやすい。

硬めにするなら水はそこそこ、肥料も普通のハーブプラスアルファぐらいで充分。結構ほったらかしでも大丈夫。花芽は早く付くけれど。ガンガンの日なたで育てれば、スパイシーな香りの強い、小さくて厚めの葉のバジルのできあがりだ。というか、あまり面倒を見ないとこんなバジルになる。でも、案外火を通すのならこちらの方が良いのかも知れない。

このへんを上手にコントロールして作り分けられるぐらいになると、園芸もいろいろ楽しくなってくるのだ。

カモミールと自己嫌悪

「即実行」できる人がうらやましい。仕事の面でもつい後回しにしてしまう傾向が強いし、園芸でも、「今年も○○が植えられなかった」とか、「種子まきが間に合わなかった」なんてのは数え上げるときりがない。

やはり今年もローマンカモミールの剪定ができなかった。花芽はどんどん上がってくるのを横目に、つい他の作業を優先してきた結果、満開を迎えてしまった。

ローマンカモミール

この株は別に花を収穫するとか鑑賞する目的ではないので咲かせない方が都合が良い。花茎が立ち上がる頃はたいてい雨も良く降るので株元は蒸れがちになる。株元の葉はたいてい茶色くなってしまう。大雨でも降れば倒れて見栄えの悪いことこの上なしだ。

倒れてしまうと、今度は剪定自体が面倒に。そしてますます先延ばし・・・の悪循環だ。

花が付きはじめる前から、時々踏んでやるとか、立ち上がりはじめたら即刈り込めば形も良く、その後もこまめに剪定する意欲も湧いてくるのに、やはり今年も怠ってしまった。

そんなカモミールを見ながら自己嫌悪に陥るぐらいならさっさと刈ってしまえば良いのに、写真を撮ってこの日も次の仕事にとりかかってしまったのである。

トカゲの足音

ガーデニングが心底好きなひとは、孤独を苦にしないひとが多いように思う。お客さんからも「一日中誰とも話さずに庭仕事に没頭できる」という話を良く聞く。

普段の作業も役割分担がはっきりしているので集中的に植え替えをしたり、何か大きなものを作ったりなどの特別な時以外はほとんど個人の仕事である。

広いビニールハウスで一日中一人で作業することも希ではない。誰かいれば別だが、そんな時、不意に背後から物音がするとびくっとさせられる。

トカゲ

夏にかけて驚かせてくれるのはこいつ、トカゲである。真夏の暑い時にでも、何をしているのかビニールハウスの苗が並ぶ台の下を行ったり来たりしている。地面にはシートを敷いているので余計に「カサカサッ」と言う音がしてびっくりさせられるのだ。

彼には無論罪は無い。ビニールハウスでは毎日のように見かける顔見知りのような間柄だ。トカゲを見て「キャッ」なんて黄色い声を出すひともいるが、全く気にならない。むしろ、お互いに邪魔をせず危害も加えず非常に良好な関係を保っている間柄といえそうだ。

なぜか写真の彼はしっぽの先が切れていた。しっぽが切れたトカゲは仲間からも阻害されやすいと何かで読んだ。彼にも表には出さない悩みがあるのかも知れない。

ちなみに地面に敷いているシート、なかなか良い製品である。非常に丈夫で敷いて5年以上たち、毎日歩いているのに劣化も少ない。水も通すし、とりあえず草取りをしたくないために敷いたところ予想以上の効果を上げている。個人的な園芸では使うことは少ないかも知れないが、良いものなので紹介しておきたい。商品名はダイオグランドシートである。ただ、切断するとその端はほつれやすいので注意が必要だ。