ウワ〜ン

ビニールハウスの中で苗の整理をしていると、外から「ウワ〜ン」とかすかにうなるような音が聞こえてきた。

おや、何の音だ?と一瞬思ったが、すぐにわかった。蜂の巣離れである。昨年も確か今ごろ遭遇したように思う。

外へ出てみて、音のする方へ行ってみると、裏の竹やぶの辺りで蜂が群れ飛んでいる。即座にカメラを構えたが、遠すぎるのとカメラの性能が足りず、何の写真だかわからなくなってしまった。

subanare

昨年は群れがビニールハウスの方へ向かってきた。ミツバチは怖くとも何ともなくとも、さすがに何百(何千?)の群れになると少し緊張した。今年は竹やぶの奥のほうへ消えていったので少し安心でもあり、残念でもあった。

また、昨年は二日続けて巣離れに遭遇。何か起こるのではないかと話していた。ミツバチの減少が危ぶまれている今年、一度でも多く見かけたいぐらいである。

優先順位

圃場の端、隣りとの境界にはいくつかのハーブが植えてある。ユーカリやローズマリー、モッコウバラなど木本性のものが多い。普段なかなか手入が行き届かない場所なので、丈夫であることが第一。そしてなにより、有る程度株丈があって、草に埋もれない強靱さが必要とされている。

例年、月に一度程度は草刈りをするので、上記の布陣で特に問題はなかったが、雨が多い今年の夏は雑草の伸びるスピードが尋常ではなく、ローズマリーがピンチである。普段なら直立して細身できれいに伸びてくれるドワーフブルーローズマリーも今年はかなり横広がり。例年の倍はありそうだ。下のほうは蒸れの影響もではじめている。

ドワーフブルーローズマリー

良い新芽も伸びてきてそろそろ挿し木の親木としても活躍してもらわなければならないのにこれではやや心配である。

なんて写真を撮ってる暇があればさっさと草刈りでもせねば。相変わらず優先順位を付けるのが下手なのである。

ブータンのとんがらし

夏前、スタッフの一人が苗のポットを持ってきた。中で発芽したばかりの小さな芽が五つ六つ伸びていた。ラベルには「ブータンのとんがらし」と書いてあった。

スタッフが友人からもらったと言う。詳しく訊ねてみると、その友人も知り合いの青年海外協力隊?かなにかで、ブータンに行った人からもらったと言う。

種子をもらった友人が蒔いてみたら発芽したので、こちらで育ててもらいたいとスタッフに預けたのだ。

どんなものかわからないが、まず一ポットでは窮屈なので一株づつポット上げした。そのまま順調に育ち、普通のトウガラシのような苗になり、ハウス横の野菜畑に植えたのが7月に入ってからだと思う。

この夏の雨続きの天気で果してブータンの植物が育つのか、全く自信はなかった。枯れたら枯れたときという気軽な気分で様子を見ていたが、少し徒長して支柱が必要になったぐらいで、順調に開花。実も付けはじめた。

ネパールのトウガラシ

どうしようかという話になったが、正体が分からないトウガラシは結構怖い。以前、やはり初めて育てた種類を不用意に口に入れて大変な思いをしたことがある。

まずは、持ってきた人が・・・ということで、当のスタッフが収穫することになった。何本か収穫して、持って帰るかと思いきや・・・

なんと、ハウスにあるコンロを持ち出してきた。その上、以前カモミールの煎じ液を作った時に間に合わせでこしらえたザルを出してきてその上で焼きはじめてしまった。トウガラシを洗いもせず、きったない作業台の上でだ!

ネパールのトウガラシ

うちのスタッフはこういう時は勢いがあるから怖い。これもまた机の奥底に眠っていた即席味噌汁の味噌をつけて食べると言いはじめた。(そもそもビニールハウスに即席味噌汁があることも問題だ)

適当に焼くとなかなか良い匂いである。その場に居合わせたのが運の尽きと観念してお相伴に与ることにした。

恐る恐る口に含むと、ピーマンよりも甘く柔らかな香りが広がる。辛味は・・・というとぴりっと辛い。でもシシトウをちょっと辛くしたぐらいでなかなか美味しいといえるのではないだろうか。

食べた後で何か起こるのではないだろうかという心配も杞憂に終った。もう何度か食べてみてやはりイケルようだったら種子まで取ってみようかという話になっている。

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タイミング悪し

広い日本ではガーデニングシーズンも様々である。以前、高冷地では真夏もガーデニングシーズンであると聞いて驚いたことがあった。ここ松江など、真夏に苗物を欲しがる人はほとんどいない。

そんな時期に花を咲かせる種類はタイミングが悪いとしか言いようが無い。せっかく花を咲かせても、なかなか振り向いてもらえないし、まして手に取ってもらえることは希である。なかでも、サルビア・ビルガータはかわいそうだ。宿根性のサルビアで、開花期以外のシーズンは葉がべたっと地面に付いていて、特に目立ちもしない。そのため、いわゆるガーデニングシーズンには他の種類に埋もれてしまいがち。目立つ花が次々と売れていくなかで、一種類だけ残っているのはわびしさを感じる。

サルビア・ビルガータ

せっかく暑さの中頑張って花を咲かせても見てもらえないのでは可愛そうだからここで紹介してあげることにする。過酷な中で頑張って咲きました。拍手!パチパチ

梨好き

秋を感じさせる食べ物は数あれど、自分にとっては「梨」かなぁ?

暑い最中に、初物だといって食べさせてもらった梨の冷たさ、さっぱりとした果汁は最高の御馳走で、子供のころから好きだったように思う。梨を食べると秋の訪れ、そして夏休みの終わりが近いことを感じさせられていたものだ。

一口に梨といってもいろいろあるが、お隣の鳥取県が二十世紀梨の産地ということもあり、甘い風味の種類よりも慣れ親しんできたさっぱりとした味の梨の方が好みである。甘い方の梨より、ひと足遅れてでてくる二十世紀梨を口にするころには、風はもう秋を感じさせてくれる。

ここ数年、台風の直撃や、天候不順により梨の栽培に影響が・・・というニュースを何度も聞き、梨農家の大変さを感じていた。中でも、袋掛けは大変じゃないかなと思っている。手を上に上げての作業、辛いもんね。そう思うにつけ、梨の美味しさは一際アップするのである。

もちろん、梨にも病害虫の心配は多いのだろう。あんなに美味しい実を成らせる木を虫たちが見逃すはずは無いではないか。

ナシケンモン(褐色型)?
ナシケンモン(褐色型)?

そんなどん欲な昆虫たちはしっかりハーブにも目をつけるのである。この間初めて見たこの毛虫。ナシケンモンと言うそうな(たぶん)。梨を初め、様々な植物を食べるそうだが、この日はウインターセイボリーをガジガジ。もちろんその時は正体不明だったのでおっかなびっくり退場を願った。

セイボリー見たいにぴりっとしてちょっと硬い葉よりも、もっと美味しくて柔らかそうな葉がたくさんなるのに物好きなヤツと思ったが、あとで梨が大好きとわかり、少しだけ親近感が湧いたのである。