嫌われる理由

当店が手入れしているお庭にはローズが最低でも一つ二つ植わっていることが多い。気温が急上昇して新芽やつぼみが成長し始める今は特にこまめに巡回が必要だ。

ここ数日、何件かのローズを見て回ったが、被害の差はあるものの、ほぼすべての庭でゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)の被害が・・・。毎年のことなのでそれほど驚かないし、よほど毎日チェックしないと防ぎきれないのもわかっている。

クロケシツブチョッキリ
新芽が見事にやられている

友人の中にはこまめに特製唐辛子入り木酢をこまめに散布して被害を抑えている人もいるが、十日や二週間に一度しかチェックができない我々には無理な話。ただ、つぼみをやられても、次の花を咲かせるエネルギーはまだ十分あるからあきらめる必要は無い。

クロケシツブチョッキリ

それにしても、これからという新芽やつぼみをピンポイントで狙ってくるのはほんとうに悔しい。そのうえ、捕まえようとするとひょいっと逃げるすばしこさ。ついでに小さいので見つけにくいことこの上無し。嫌われるのもよくわかる。でも、たくさんの種類を育てていると、選択して狙っているのがよくわかる。どういった基準で選ぶのかはわからないけど。

まあ、ゾウムシの被害もここしばらくがピーク。収まる頃にはそれぞれの庭で花が見られるだろう。

蜂のお気に入り

昨日、開花中のカーネーションの中に一生懸命に潜り込んでいる蜂らしきものがいた。柔らかい花びらの奥に頭を突っ込んだまま、
「もしかして死んでるのかな?」
と思うぐらいピクリともしない。

ニッポンヒゲナガハナバチ

蜜を探しに来て昼寝でもしてるのかもと、そっとしておいた(だとしたらさぞ気持ちがよいことだろう)。下手に手を出して痛いめに会うのも嫌だしね。

翌朝、やはり同じ花の上でまた再会。よほどこの花が気に入ったようだ。時々目にする、触角がとても長い蜂らしき昆虫。触角が立派なだけで、なにか強そうな感じがする。朝でまだ気温が低いせいか、花の上をごそごそするばかり。潜り込む気配はなかった。

ニッポンヒゲナガハナバチ

後で調べてみるとニッポンヒゲナガハナバチという種類だった。

友人が、ビーガーデン(蜜蜂の蜜源となる花を集めたお庭)を作ったという話を聞いた。レッサーカラミントが蜜蜂は特にお気に入りだということだが、カーネーションも植えてあるのだろうか。

当たり年

「あれ、こんな花あったっけ?」
あるお庭の手入れに行った時、一緒に庭で話をしていたお客様がおっしゃった。

指差す先には、イエロースイートバイオレット。幅2メートルほどにに広がり、色調が抑えめの庭でもひときわ目立っている。

イエロースイートバイオレット

「ええ、以前から植えておりましたよ」
「えー、今まで見たこと無い!今年はじめて咲いたの?」

決してそんなことは無く、何年か前にもものすごくたくさん咲いたはずである。ただ、ここ2年ほどはあまり開花にお目にかかっていないが、開花時期にこのお庭に来ていなかったのだろうと思っていた。

ところが、このお庭のすぐ近くのもう一件のお庭、そして、かなり離れたまた別のお庭でも今年はなぜかイエロースイートバイオレットが絶好調。うち、一件は確かに昨年の秋に植え替えをしたので、それが刺激となり良く開花したのかもしれないが、残り二件は特に何もしていない。もしかして、果樹のように豊作、不作の年があるのかも、そして今年が当たり年?

他の庭に無かったっけ?と思い出してみたら、店の花壇でも今年は良く咲いていた。

このところの強い雨でちょっと傷み気味。
このところの強い雨でちょっと傷み気味。

もし良かったら店のほうへ見に来てください。でも、お早めに。

無事誕生

昨秋、とあるお茶畑で番茶を摘む手伝いをしていた時のこと。お茶の木をよく見ると所々にカマキリの卵鞘が産みつけられているのに気がついた。

もちろん、収穫したお茶の葉にも卵鞘が混ざってはいけないので後で選り分けられるのだが、そのまま捨てられてしまうのはもったいないと思い、集めて持ち帰った。もちろん、ビニールハウスで孵化させようと言うもくろみであった。カマキリは大きくなればチョウなどの大きな昆虫を補食するが、小さいうちは小さい昆虫を食べる。アブラムシ等もそのなかに含まれるということらしい。

春先に一番悩まされるのがアブラムシなので、カマキリ君にお任せしてみようと言うわけだ。テントウ虫の親子の活躍はまだしばらく先になりそうだし。

ただ、問題は卵鞘の管理。自然界ならば雨や雪、風にもさらされ、氷点下にもなるだろう。ビニールハウスの中で、冬暖かくなったり寒くなったりを繰り返したり、雨もあまり当らない環境で無事春を迎えられるかは心配だった(もともとビニールハウスのなかに産みつけられたものは問題なく孵化したことがある)。持ち帰り、とりあえず目の届きやすい、ホワイトセイジグレープセンテッドセイジの大鉢に枝のまま差しておいた。

その後お茶の木から折り取った枝は徐々に枯れてくるし、卵鞘が落ちてしまわないか心配していたが、今日、ふと見ると孵化し始めている。

カマキリの孵化
卵鞘から出る時にまず脱皮をするらしい。皮が残っている。

今のところ、3つほどの卵鞘から幼虫が出て来て動き始めていた。気が早いヤツはホワイトセイジの葉の間をごそごそ。ビニールハウスの中のホワイトセイジも春はアブラムシがつきやすいのでちょうど良い。

ホワイトセイジの葉の上でにらめっこ
ホワイトセイジの葉の上でにらめっこ

さて、この春アブラムシの害が少しでも減ってくれるのか、ちょっと楽しみである。

やせ我慢せず

お彼岸がすぎてからフルーツセイジが咲き始めた。今までは大抵冬のさなかに開花することが多かった(といってもビニールハウスの中で)。セイジの中でも極端に寒さに弱いくせに、やせ我慢してこんな寒い時に咲くなんて、といつも思う(実のところは、短日植物だからだそうだが)。

今年は冬の間日が射すことが少なく、あまりに気温が低い日が続いたせいなのかよくわからないが何鉢かあるのに全く咲く気配を見せなかった。それが春になってようやくつぼみをつけ始めて開花。

フルーツセイジ

真冬に咲く時はつぼみの数も少なめなのに、暖かいとやはり調子がいいらしい。花の数も多めだ。

周囲が雪に覆われた薄暗い中で咲くよりは暖かい日差しの中で咲いてくれるほうが見るほうも気分が良い。来年もやせ我慢せずに是非この頃に開花してほしい。