おすすめの一品

自分たちのように、園芸を仕事にしている者にとってはもちろん、家庭園芸でも何かと役に立つのが通称舟(フネ)と呼ばれる大きな容器である。

フネ

元来は左官さんがモルタルを混ぜる時に使うものなのでとにかく丈夫だ。当然、土を混ぜるのに重宝する。水を溜めることもできるので、汚れた道具や鉢などを水につけておいたり、たくさん収穫したハーブを一時的に水にさらしておくのにも役に立つ。

今ではもっぱら、ポット上げ作業の時に、用土を大量に入れておくのに使ったり、肥料を混ぜたりするときに使っている。

また、お客様のお庭へ手入れに行く時にも欠かせないツールの一つである。道具を一切合切入れて運んだり、汚れ物もまとめて撤収できる。植え替えする時に周りを散らかしたくない時、掘り上げた土を入れておけば土で汚れることも無い。

ちなみに、今日は少し先に予定されている講習に持っていこうと思い、きれいに洗った。寄せ植えの講習なので、苗や鉢、用土など、運ぶものが多い。
搬入や撤収の時、何かと頼りになるのだ。

結構便利なので、いつのまにか増え、今では大きいサイズのが4つ、小さいのが1つになった。長く使える道具なので、趣味で園芸を楽しむ分にも一つあると色々活用できて良い。おすすめの一品である。

珍しい鉢植え

圃場には鉢植えがたくさんある。でも、ほとんど全てと言っていいほど親木としての鉢植えである。形良く育てるとか、花をたくさん咲かせるとか言うのとは無縁の鉢花たちだ。

形良くと言うのはともかく、花をたくさん咲かせるとそれだけ株はエネルギーを消費する。親木用としては花は咲かせない方が育てる目的にかなっているのだ。第一、挿し穂をとられたり、株分けに使われたりで花を咲かせている余裕はないと言うのが正しいかも知れない。

八重咲スイートバイオレット

そんな中でも、珍しく良く花を咲かせた鉢があった。この八重スイートバイオレットは確か昨年の秋植え替えした時、株分けのニーズから上手に逃れて、株が充実したままその後を過ごしたのだろう。見本のような咲き方である。実際この圃場では珍しい。

八重咲スイートバイオレット

あまりに珍しい?状態なのでついつい写真に撮ってしまった。

暖かい晴れの日に

山陰では冬の間の晴れの日は何事にも替え難い。つい、あれもしよう、これもしようと言う気にさせられる。

でも、慎重な作業が求められる仕事や、降りものが無いことが必須条件になる仕事を選抜して行なわなくてはいけない。

先日は、高所でのローズの手入れを行なった。今日は井戸からの給水設備のメンテナンスである。

ビニールハウスの生命線である井戸は近くの山際にあるため、大雨が降ったりすると土砂が流れ込むことがある。井戸ポンプに砂こし器を付けてはいるものの、一年のうちには結構砂も溜まる。パイプ類の接合部やパッキンも徐々に劣化する。

砂こし器

今日は砂こし器を取り外し、パッキンの取り換え。大分劣化していた。専用のパッキンだと取り寄せないといけないので、ゴムのシートを切り抜いて自作パッキンを取り付ける。ネジの部分も錆が出ていたので、錆も落としてやった。本体は丈夫なもので(とても重い)、まだ当分使えそうだが、パッキンは時々替えてやった方が良さそうだ。

パイプの接合部もチェック。パーツの一つがおかしいようなので交換。いずれもシールテープを巻き直して確実に密閉されるようにする。

これらの作業、一つでも手を抜くとエアが噛んだりしてポンプが正常に動かない。一つ一つミスがないように、慎重に作業を進めることが肝要。雪や雨が降っていてはついツメが甘くなってしまうのだ。プロじゃないのでね。

暖かい午前中、スムーズに作業は進み、無事メンテナンス終了。毎年どうしてもやらなければならない作業ではないのだが、今のうちに行なっておけば安心して春、そして夏を迎えられるのである。

優先順位

春を思わせるような日が時々現れるようになるとハーブたちの色も鮮やかさを増してくる。気の早いものはゆっくりながらも成長し始めてくる。とは言え、日照量がまだ充分ではないので種類によってはひょろひょろと伸びやすくなるものもある。

枝分かれを促進し、株の形を整えるために、そんな苗を見つけては軽く剪定を掛けている。また、木質した枝から新芽が伸びた苗に切り戻しを行なうのも形の良い苗を育てるのに大切だ。

ペパーミントゼラニウム

このチョコレートペパーミントゼラニウムは昨年挿し木して、秋にポット上げしたものである。結構木質化した枝の下のほうから葉が現れ始めたので少し切り戻してやる必要があるのだが、ご覧のようにカマキリの卵が・・・。伸びようとしている葉もなんだか窮屈そうである。

この場合、ゼラニウムの成長と、カマキリの卵、どちらを優先するかと言えば、カマキリの卵の方である。前に、同じようなシチュエーションに遭遇したことがあった。その時は枝を剪定して、「ここなら問題ないだろう」と思われる場所に置いておいたのに孵化しなかった。乾燥しすぎたり、濡れすぎるのは良くないようで、時々潅水する苗にひっついていると言うのが適度なのかも知れない。

と言うわけでこの苗はカマキリが孵化するまでしばらくこのまま。今年もたくさん孵化してもらいたいものだ。

腰の四次元ポケット

百姓とはよく言ったもので、仕事はハーブを育てることにとどまらない。先日から行なっている竹切り(「竹と椿」参照)もその一つだし、ビニールハウスの修理などの大工仕事、時には配管修理やモルタル塗りも行なわなくてはならない。まるで水道屋さんか左官さんである。

釘袋

そんな時に頼りになるのが腰に付ける釘袋である。10年ぐらい前にとある金物屋さんで、棚の下のほうにホコリをかぶっているのを見つけて購入した。現在はツールのスペースが細かく区切られたものが主流のようだが、そう言った釘袋はもっと専門性の高い仕事向きだろう。自分のような何でも屋さんには何でも入るシンプルな釘袋がぴったりである。釘や木ねじはもちろん、金づち、ドライバー、鉈、スパナやレンチ、巻き尺、インパクトドライバまで入ってしまう。
もちろん園芸作業にもかかせないツールの一つだ。苗のラベルや、剪定ばさみ、手袋、折りたたみノコギリ、シャベルや鎌まで飲み込んでしまう。また、ちょっと剪定した枝切れや、苗から取り除いた雑草も一時的に放り込んでおけるのも嬉しい。

ハトメリングを装着
ハトメリングを装着

冬場は特にツルバラの誘引作業時に欠かせない。太巻きの麻紐を入れておくと非常に仕事がスムーズにゆく。今年、この作業が更に円滑にできるよう、ハトメリングを取り付けた。このリングから紐を出すようにすると、先端が分かりやすいし、絡まりにくくなる。

冬のバラの手入れには欠かせない
冬のバラの手入れには欠かせない

こんなふうに大変重宝して愛用している釘袋ではあるが、時には心が揺れ動くことがある。工事現場を通りかかる時、十本以上のツールを誇らしげに釘袋にぶら下げ、カチャカチャと音を立てている現場のお兄さんを見ると、やはりあの釘袋に憧れてしまうのである。