彼岸花のように

どの季節が好きかと問われれば、躊躇無く「秋」と答える。苦手な夏が終わってホッとできるし、次の夏までが一番長いからだ。

私にそれほど嫌われている夏も、今年はそれほど力を発揮できなかったようだ。例年、冷水のシャワーを浴びると、「今年もいよいよ夏がきたな〜」と感じるのだが、今年はどうやら冷水のシャワーを浴びることなく終りそうである。

これが咲きはじめると暑さも峠越えという花がある。レウコジャム(レウコユム)・オータムナーレである。五月ごろに葉が無くなり、しばらく沈黙のひとときを過ごした後、当地ではお盆ごろに突然花茎を伸ばしはじめて開花する。この熱い最中に、こんな細い茎を伸ばして可憐な花をつける力強さに毎回慰められている。白い花を見ては「もう少しの辛抱で秋が来る」と少し安心するのだ。

サルビアに圧倒され、やや窮屈そうである。
サルビアに圧倒され、やや窮屈そうである。

この植物にしろ、ヒガンバナにしろ、良くもまあ、咲く時期を間違えないものだと感心する。なんでも葉がでている春のころからカウントダウンに入るそうだ。農業はタイミングが非常に大事である。天気予報をチェックしつつ、上手に逆算できる能力が求められる。

その点私はまだまだ。レウコジャムやヒガンバナのような逆算できる力をつけたいものだ。

ところで、非常に良く似ているレウコジャム・プルケルムは、当地ではもう少し早めに咲きはじめる。まだまだ夏真っ盛りという時期でさすがに風情がない。他の地域ではどうなのだろう。見た目はオータムナーレととても良く似ているので、一度ラベルが外れると大変なことになる要注意の2種類である。