思い出の香り(2)

雨のスタートとなった新年度。

こんな仕事をしていると年度が変わったとか、月が変わったとかいうことがそれほど大きな意味を持たなくなる。

気温がはじめて氷点下になったとか、梅雨が明けたというような天候の変わり目の方がはるかに大きな節目だ。

とはいえ、周囲の新年度感や、新学期感はなんとなく伝わってくる。「気分を新たに」スタートしている人も多いのではないだろうか。

自分の場合、気分を新たにというよりも、この時期、「初心を忘れずに」という気持ちが強い。

もう25年近くになるだろうか。初めてハーブに出会ったのがこの季節。忘れもしない、米子市のアーケード街の中にある園芸店の店先に並んでいたちいさなポット苗にふと目が止まったのがハーブの実物と出会った最初だった。

それまで植物など育てたことはほとんどなかったのに、なぜか興味をひかれ、葉を触ってみた。

レモンバームと、タイムだった。指先に残った香りに驚きを受けた。

その一瞬の驚きはよほど鮮烈だったのだろう。いまでもこの時期にレモンバームとタイムの香りをかぐと当時に引き戻される。

レモンバーム
長年おなじ仕事を続けていると、垢がたまるように、慣れや惰性に自分が包まれてしまいやすい。日々、ハーブが周りにあるのが当然になり、ハーブをただの商品としてしか見れなくなったらもうこの仕事を続ける資格はないと思う。

そのような不要な垢を取り除くためにもこの時期、伸び始めたフレッシュな葉の香りを確かめる。

なので、レモンバームとタイム、とても平凡なハーブなのだが、私にとってこの二つは特別なのである。

自然にはかなわない

圃場の裏手は土手状の荒れ地で、夏草の残りがまだ覆い茂っている。用水路際の斜面には季節季節で野草が花を咲かせる。今日、ふと目をやると、ミゾソバをバックにブルーっぽい花が咲いているのが見えた。季節がら、アキノタムラソウかなと思ったのだが、ちょっと様子が違う。

後ろのピンクはミゾソバ
後ろのピンクはミゾソバ

ヤマハッカであった。こうして写真に撮ってみるとなかなか良い物だ。

さて、セイヨウヤマハッカと言えば言わずと知れたレモンバームの和名であるが、こちらの本家?ヤマハッカは同じシソ科ながら、むしろアキチョウジに近い植物である。ただ、葉の形は確かにレモンバームに似ている。ハッカと名はつくけれど、ハッカのような香りはしない。特に薬用として使われることもないようだ。

ヤマハッカ
観賞用として栽培されることもあるのかもしれない。つい、手元に植えてみたいという気持ちが湧いてくる。でも、自然のままで他の草花と咲いている姿、我々がいくら一生懸命手をかけてやっても、なかなかこううまくはいかないのである。

時期をおぼえておいて、また来年目を楽しませてもらおう。

腕の問題

ハーブの多くは、花が咲くと嬉しいもので、つい写真も撮りたくなる。見栄えもするからね。ところがレモンバームはあまりにもつつましやかな花で、「ああ、花が咲き始めたなぁ」で毎年終ってしまっていた。花が咲くと葉は小さく、固くなってしまうので早く切り戻して新しい葉を出したくなるのだ。同じハーブティー用のミントでさえ、もう少し目立つ花を咲かせるから結構咲かせっぱなしにすることが多いのに。

葉を繁らせるために花芽を摘むバジルだって、咲かせてみると結構良い感じだし、種子を採ると言う目的も後にはある。ところがレモンバームはかえってこぼれ種で増えない方がありがたい。
レモンバーム
今年は幸いレンズを向ける気になって、数枚を収めることができた。とはいえ、やはり柔らかで大振りの葉の方が見栄えは良いように思う。それとも、写真の腕が上達すればレモンバームの花も魅力的に撮れるのようになるのかなぁ。

金色の出番

暖冬が予想されている今年の冬。とはいえ、快晴の朝はそれなりに冷え込む。日が射してもまだ暖かくなりはじめていないビニールハウスの中ではマフラーも手放せない。

そんな寒気の到来を嬉しそうにしているのがゴールデン葉系のハーブたちである。夏の間、元気が無くなったり、ゴールド色を隠して寒い季節が来るのをじっと待っていたかのように一斉に鮮やかさが増してきた。

ゴールデンリーフストロベリー

秋の初めにポット上げしてからもなかなか調子が出ずにやきもきさせられていたゴールデンリーフストロベリーも、このところになってようやく気持ち良く成長を始めた。

ゴールデンレモンバーム

ゴールデンレモンバームも同様。日に日に黄色味が増してきた。

ドーンバレータイム
毎年、夏の間斑が無くなって心配するドーンバレータイムもようやく斑が復活である。

冬はどうしても花が少なく、花壇や寄せ植えなども色合いが少なくなってしまいがちである。こういったゴールデン葉や赤系などカラーリーフを上手に生かしたい。パンジーやビオラばかり酷使するのはチョット・・・ね。

快適な梅雨

梅雨は全くあける気配がない。週間予報を見ても7月の終り頃まで曇りマークが続く。苗の徒長を心配しつつ空を見上げている。

一方で、暑さや直射日光を嫌う種類は元気いっぱいである。快適に梅雨ライフをお過ごし中だ。

ゴールデンレモンバーム

このゴールデンレモンバームの苗も、例年ならば、梅雨の半ば頃までに強い日差しで葉が焼けたようになって、日陰で療養中の身である。ところが今年は日よけをしていないところでもこんな調子。壁紙にでも使えそうないい感じの葉を伸ばしている。

まあ、この後本来の暑さが戻ってきたときのほうが返って怖いというものだ。早めに剪定しておいた方が良いのかも・・・と思うこの頃である。