てんとう虫の春

春は駆け足でやってくるというが、もう3月という気持ちと、まだ3月という気持ちが入り混じっている。

畑の春はなおさら早い。気がつくと、雪が降る前に耕したところが一面草で覆われていた。

雑草

一方、ハーブたちはこちらの気も知らずにのんびりとしている。

ナスタチウム

冬の寒さで地上部がすべてふにゃふにゃになってしまったナスタチウムの苗も、ようやく一株、また一株と株元から新芽を出し始めてきた。株自体が傷んでいなければ今後徐々にその数も増えてくるのだろう。

そして、3月にもなると、山陰でも晴れの日が目立ってくる。その代わり、朝の気温は下がり、先日も白花クリーピングタイムがびっしりと霜に覆われていた。とはいえ、寒さには強いので全く心配はいらない。

ホワイトクリーピングタイム

昆虫たちもまだほとんど姿を見せないが、このあいだ、株分けしようとしたラムズイヤーからポトリとてんとう虫が落ちてきた。葉の陰で寝ていたのだろうか。

てんとう虫とラムズイヤーふわふわのラムズイヤーをお布団にするなんて、いい場所を見つけたものだ。

落ちてゴソゴソしたかと思っていたら、葉の付け根に頭を突っ込んでピクリともしない。まるで、朝お母さんに起こされたちいさな子供のような仕草に笑ってしまった。

本当は株を全部掘り上げて株分けしたかったのだが、自分がそうされたら・・・と考えるとしのびなくて、一部分はそのままにしておいた。またそれが広がったら株分けすればいいだけのことだ。てんとう虫の春ももうすぐやってくるだろう。それまで束の間、春の眠りを楽しんでほしい。

真冬の仕事

朝の気温、マイナス2℃。大雪とはならなかったが、気温が上がらないのと、なかなか止まない雪がもどかしい。

開きかけたローズマリーの蕾ももう一歩というところで止まっている。

ローズマリーの蕾
ローズマリーの蕾も固く閉じたまま

筋状の雲のおかげで時々晴れ間はさすので、ビニールハウスの雪は滑り落ちてくれるので安心なのだが。

晴れ間

来週もまだ雪が続くというが、2週間近くも降り続くのは珍しく、なにかと生活に支障がでる。

もちろん仕事にも差し支えが出つつある。土はまだ雪の下なので、耕したり植えたりはできないし、年末から蒔いている種子の発芽も芳しくない。この先の天気も考えながら「今日すべきことはなにか?」と考える日々が続く。

そんななか、秋に蒔いたレモンユーカリの種子が発芽を始めた。本当はもっと気温が高い時期に蒔くのだが、忘れていたため、とりあえず蒔いておけば春になって出るかもしれないというぐらいの気分だった。まさか大寒すぎのこの季節に動き始めるとは・・・。「もうすこし休んでてもらえないだろうか」と伝えたいぐらいだ。

レモンユーカリの発芽
レモンユーカリの発芽

それでも、蒔いた種子が発芽するのは嬉しいものだ。レモンユーカリの発芽は特に力強いのでなおさら見ていて楽しい。

心配と期待で毎日のように眺めていたのだが、今日、よくよく観察してみると、せっかく発芽した小さな芽が食べられていた。

ナメクジの食害

おそらくこの食べ方はナメクジかその辺りだろう。すぐに鉢の裏も調べたのだが発見できず。いくら寒くてもナメクジたちはそこそこ活動をするようだ。夜、暗くなってから動き出すだろうに、あんなに水分がありそうな体が凍らないのだろうか?朝、凍りついたナメクジがいてもおかしくなさそうなのに、いまだ見たことがない。

ま、とりあえず、早急に行わねばならない仕事は見つかった!

産み付ける基準

相変わらず気まぐれな天気が続くこの時期の山陰地方。

雨やみぞれの合間を縫って、冬にそなえた剪定作業をすこしずつ進めている。

毎年のことだが、この季節、枝や刈り取った草にカマキリが卵嚢を産み付けているのをいくつもみつける。

カマキリの卵嚢
ラベンダーの枝に産み付けられたカマキリの卵嚢

ローズマリーやラベンダーの枝に産み付けられていたり、かと思うと、柔らかなススキの葉についていたりするので、どういう基準で産みつける場所を選ぶのかいつも不思議に思う。

とりあえず刈り取って投げっぱなしにしておくようなもったいないことはせずに、一箇所に集めておく。春、すこし暖かくなった頃に、育苗している苗の近くに置いてちいさなカマキリが生まれるのを待つ。

カマキリの卵嚢
暖かくなるまで集めておく

ちょうどその時期は、われわれもアブラムシやその他の小さな虫に悩まされる頃なので、赤ちゃんカマキリに餌にしてもらうのだ。きっとすぐにビニールハウスの外に出て行ってしまうだろうし、効果のほどは定かではないが、きっと我々の知らないところで小さな虫を食べて助けてくれているんだと思うだけで気分がすこし楽になるのだ。

カマキリの卵嚢が、高い場所に産み付けられていると、その年は雪が深いと言う。今年、圃場の脇の木の枝に産み付けられていた卵嚢はおおよそ私のおへそのあたり。

カマキリの卵嚢
おおよそおへそのあたりの高さに産み付けられていた

ついでに、ビニールハウスの中のシルバーフリンジラベンダーの苗に産み付けられていた卵嚢も、地面からの高さは奇しくもほぼ同じ・・・。今年の冬は覚悟して臨む必要があるかもしれない。

カマキリの卵嚢
苗に産み付けられた卵嚢も、台の高さを入れると結構高め

ちなみに、秋の半ばに見つけたカマキリの産卵風景だが、産み付けられたばかりの卵嚢は不思議なブルーをしていた。ホースに産み付けたからではないらしい。

カマキリの産卵我々人間も青いものにはあまり食欲が湧かないものだが、そういうことを狙ってのことなのだろうか。

ホースに産み付けてもらっても困るのだが、まあ、このホースは春ずいぶん暖かくなってからしか使わないので、たぶん差し支えはないだろう。

※ちなみに卵嚢って英語ではEgg caseって呼ぶらしい。なるほど。

アリに教わる

毛虫、イモムシ、ハチ・・・嫌がられることが多いこれらの昆虫は平気なのだが、アリは苦手である。もちろん、一匹二匹なら問題ない。ただ、何百匹が集まっている姿は勘弁してほしい。

どちらかといえば好感を持たれることの多いアリだが、チームワーク、個々の強さ、そして勤勉さを兼ね備えたアリ。もし知性を持ったらとか、巨大化したら・・・なんて考えると恐ろしくなる。

だが、命尽きて倒れた昆虫たちの片付けをするのもまたアリたちだったりする。もしアリがこの役目を担わなかったら、土の上は腐敗した死骸でいっぱいになるとも言われている。

また、日々、アリに教えてもらうことも多い。

たいてい、苗にアブラムシやカイガラムシがついたとき、すぐに気がつくことは少ない。むしろアリがそれらにたかりはじめ、苗の枝や葉を行き来するようになって気がつくのだ。もしアリがいなかったら、手遅れになってしまう苗ももっと多いに違いない。なのでアリを毛嫌いしてはいけないと、日々自分に言い聞かせてはいるのだが。

さて、夏になると何年も前から、ビニールハウスの入り口で、アリが集団になってうごめいているのをよく目にしていた。きっと、寿命を終えたセミやトンボにたかっているのだろうと思っていた。

しかし、実はアリたちは戦っていたのである。もちろん、そんな姿を近くで凝視するなんてありえないのでスタッフが教えてくれたのだが・・・。

アリの戦い

確かに(おそるおそる)よく見るとアリの死骸もたくさん落ちている。遠目には同じようなアリに見えるのだが、案外別の種類なのかもしれない。敵対しているのか、勢力争いなのか、理由はよくわからない。

同時に2カ所で戦いが行われていることも多く、「こっちが川中島か、こっちが関ヶ原か」という感じだが、いつの間にかどちらともなくいなくなっている。と思うと、翌朝、夜があけて間もないのに少し場所を移動してまた同じように激しい戦いが繰り広げられている。

川中島と関ヶ原

飽きもせず、なんのためにと、不思議でしょうがないが、きっと神様や宇宙人がいて上から地球を眺めていると人間の争いもこんな風に見えるに違いない。

この夏日本じゅうを混乱に陥れたヒアリも、在来のアリが戦って駆逐するとの話も聞く。このあたりではまだ見つかっていないが、ビニールハウスの入り口で戦いを繰り広げる日は来て欲しくないものだ。

殿様御帰還

悪天候やら地震やらで、仕事や生活、気持ちもざわざわしていた夏秋だったが、結構嬉しいこともあった。

少し時間が戻るが、昨年、非常に心配なことがおきた。

圃場の周りは田畑が広がり、すぐ脇には水路、裏には小高い山もあって、カエルなどの両生類も多い場所である。
トノサマガエル
トノサマガエルなど、草刈りをしていると草刈り機のすぐ先からピョンピョン飛び出してくるし、なかにはでっぷり太って素早く逃げることができず、こちらがヒヤヒヤするような立派なトノサマガエルもたくさんいた。ビニールハウスの中でも、水やりの後、水が溜まって湿っている場所など、何匹も集っているのを見かけたものだ。

ところが昨年、このトノサマガエルが妙に見当たらなくなってしまったのだ。その前の年ぐらいに、全国的にトノサマガエルが減っているというようなニュースを目にしていたが、都市部のことで、まさかこんな島根の片隅にまで影響が広がっているとは信じられなかった。

相変わらずアマガエルはたくさん見かけるので、昆虫類やナメクジが減ったとも思えない(実際たくさんいる)。ニュースで言っていたトノサマガエル特有の病原菌(だったかな?)なのだろうかとも思った。

アマガエル
アマガエルは相変わらずどこにでもいる
アマガエル
砥石の上は湿ってて気持ちが良いらしい

今までたくさんいたものが急にいなくなると妙に心配になるものだ。そのせいか、昨年は蛇もあまり見なかった感じがする。

ところが今年になって、春先から小さなトノサマガエルを見かけるようになった。草刈りをしていたら、相当大きなのもでてきたし、水路には以前のように何匹も並んでいる様子をちょくちょく目にするようになった。戻ってきたのが嬉しくてつい見てしまうせいもあるかもしれないが、以前より数は多いのでは?と思うぐらいだ。

ただ、この辺りだけのことかもしれないと思っていたので、この夏、カエル好きなことで知られているガーデナー、ポール・スミザー氏とお話する機会があったので、トノサマガエル、減ってると聞いていますが、見かけますか?と訊ねてみた。

「結構いるよ、今日もたくさん見かけたしね!」
とのこと、全国色々なところを巡っている氏の言葉にすこし胸をなでおろした。他の地域でも元のように増え始めていると良いが・・・。

先日は、急に蛇が飛び出してきて驚かされたが、その先には大ジャンプで逃げるトノサマガエルがいた。上手に逃げおおせたようだ。

もうすぐ今年の草刈りシーズンも終わるが、来年、草刈りシーズンが始まったら、またヒヤヒヤするぐらい飛び出してきてほしい。