踏まれつつも

圃場の周りでアルカネットが咲き始めた。ちょうど梅雨に入り空気がしっとりした頃から咲き始める青い花は何となく心を穏やかにしてくれるものだ。

アルカネット

これも特に植えたものではなく、苗から飛んだ種子とか、植え替えした時の株の切れ端が土に混じって根付いたものかもしれない。

花が咲かないととても地味な様子なので、知らない人にとっては雑草の一つにしか見えないだろう。同じムラサキ科でもボリジはまだ存在感のある葉をしている。

地味な分、丈夫なのだろう。この株も時々通り道になるところに生えているのでそれこそ花の咲いていない時は踏んでしまうこともままある。アルカネットだと知っていても、あまりに目立たないと我々もつい踏んでしまいやすい。でも、全くへこたれる様子もなく花の時期にはしっかり咲いてくれる。

はやく植えかえてやれば良いのだが、この強健さにもかかわらず、移植はあまり得意ではないらしく、案外ダウンしてしまったりする。踏まれつつもこの場所においておくほうが彼(彼女?)にとってはいいのだろう。この場所を選んで咲いているのだから。

秋のアルカネット

ビニールハウスのすぐ横で、アルカネットの紫が目についた。植えたものではないのでこぼれ種だろうか。普通、初夏に咲くことがおおい花だが、秋に咲くのもそれほど珍しくはないようだ。

アルカネット

どちらかと言えば小さめの花なので初夏だと他の目立つ花に埋もれてしまいやすい。今、周りにあるのはせいぜいコスモスぐらいなので小さな色でも目を引きやすいし、秋は花の期間も初夏に比べ長いのもうれしいところ。その上、暖かい時期には徒長しやすく、強い雨でべたっと倒れてしまうこともままある。野趣に富む植物だし、秋の控えめな草花と一緒に咲いているほうがアルカネットとしても楽しいんじゃないだろうか。