涼しくなってからひょっこりと

圃場のそばの荒地にあるヒガンバナ、今年はまだ咲かないのかと思っていたのに、今日ふと見たら赤い花をいつもの年のように咲かせていた。

ヒガンバナの開花が遅いとラジオか何かで耳にしていたが、この辺りでは例年と同じように咲いたようだ。

夏のあいだ姿を隠して、秋にひょっこりと顔を見せるのはヒガンバナだけではない。

ビニールハウスのポット苗でも、そういうものは結構多い。特によく似たパターンを見せるのがマドンナリリーだ。

開花時期こそ初夏だが、その後、小さい苗でも大きな株でも同じように徐々に葉が弱ってくる。

育て始めた頃は、株自体が弱ったのではないかと随分心配したものだ。だが、これは夏を乗り切るための姿。夏を越すには無駄なエネルギーを使わずさっさと涼しい地下で眠るのに限るのだろう。自分だってもし許されるのなら、同じように秋までじっと涼しいところで隠れていたいぐらいだ。

地上部がなくなるし、球根なので水分の消費は随分少ないのだが、それでも極端に乾かない程度の水やりは必要。もっとも、水のやりすぎは球根が腐ってしまうので厳禁。葉が残っているものよりも見えない分、かえって難しいかもしれない。

そのマドンナリリー、今年もヒガンバナと時を同じくするかのように土の中から顔を出し始めた。

涼しくなってから、何もなかったように顔を見せられると、ことさら辛かった今年の夏を思うと、ちょっと小憎らしい気もする。でも、ひとつ、また一つと芽を見るたびにホッとするのも確かだ。もちろん、全部が顔を見せるわけではなく、何割かはダメになってしまうのだが、今年は比較的成績が良さそうだ。

このまま順調に育ち、もう少し涼しくなった頃、紹介できると良いのだが。

お彼岸のマドンナ

ああ、お彼岸だなぁとしみじみ感じるのは、おはぎを食べている時・・・じゃなくて、彼岸花の赤を目にした時である。ところが、ニュースでもやっていたが、夏の暑さが災いして今年は開花が遅れているそうだ。そう言えば、帰り道、毎年彼岸花の群落を見かける田圃の畔も今年はまだ隅っこでちらほらと咲いているだけだ。

彼岸花の球根は開花へのカウントダウンが上手だと言うことだが、今年の暑さには惑わされてしまったようだ。

同じように、9月の声を聞くと新芽が出てくるマドンナリリーも、ようやく新しい葉を覗かせ始めている。いつまでたっても芽が出てこないのでさすがに今年は暑さで球根が溶けてしまったかと気を揉んでいたのだ。どうやらここ松江では地植えでは暑さで溶けるリスクが結構高いものの、鉢植えにして乾かしぎみだと今年のような猛暑の年でもなんとか越えてくれるようだ。

ようやく新芽が出てきた株。回りの小さな芽はただの雑草です。
ようやく新芽が出てきた株。回りの小さな芽はただの雑草です。
こちらは少し早めに芽が出てきた株。隣りの枝は春に開花した時の茎。残しておく必要はない。
こちらは少し早めに芽が出てきた株。隣りの枝は春に開花した時の茎。残しておく必要はない。

やっと涼しい風が吹くようになり、今年はなおさら「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉が身にしみる。ああ、お彼岸だなぁ・・・。

緑色の太陽

ものすごい黄砂だった。道行く車が皆凄い状態。朝方は太陽もぼんやりと陰っている感じだったが、ハウスの中には緑色の太陽が出現していた。

マドンナリリー

鉢植えのマドンナリリー。このところの暖かさで花茎を伸ばしつつある。それを上から見るとこんな感じ。いままで少し高めの棚に置いていたので、去年までは気がつかなかった。

なんか、植物のうちに秘めたる美しさのようなものを感じてしまった。

五月のマドンナ

ここ数年、4月の終わりには咲きはじめていた鉢植えのマドンナリリーが今年は5月半ばになってようやく開花するようになった。毎年一度だけ楽しめる香りはまた格別だ。

マドンナリリー

去年までは4月に夏のような暑さが何度かあったので一気に花を咲かせる体勢になったのだろう。今年は比較的寒かったのか、花茎は伸ばして、蕾までは付けても一向に開花する素振りを見せなかった。このようなことは初めてだったので少し気をもんだのも確かである。

この株、育てはじめてもう7〜8年にはなるだろうか。2年後から開花しはじめて、以来毎年花を楽しんでいる。松江だと、地植えもできないわけではない。しかし、地植えして数年経つと一、二度花は楽しめるのだが、夏に溶けて消えてしまいやすい。よほど風通しと水はけの良い場所を選ぶ必要がありそうだ。

その点、鉢植えなら誠に簡単である。花が終ると花茎ごと剪定してやればよい、休眠期へ移行していき、葉もなくなる。(松江の場合)特に涼しい場所に移すことも無い。他のハーブと同様の扱いである。

一つポイントは、夏、あまり水をやり過ぎないことかも知れない。うちの場合、枯れた鉢かと思って、スタッフが時々水やりを怠るのが丁度よいようだ。そんな状態を心配しつつも秋になるとしっかり新芽が顔を出す。

できれば大きい鉢が良い。株が大きくなってくると8号鉢では開花時にバランスが悪くなる。10号鉢ぐらいの方が水やりの間隔も延ばせるのでそれが良いのかも知れない。重たくて大変だけど。

5月27日追記

福岡県のO様からメッセージとともにマドンナリリーの写真を送っていただきました。二年越しで開花したとのことです。メッセージ本文はこちらに掲載してあります。

福岡県 O様宅のマドンナリリー
福岡県 O様宅のマドンナリリー

やはり鉢植えでの栽培とのことで、夏越しには苦労していらっしゃるようですが、軒下に入れて雨対策などをしながら開花まで育てられた御自慢の一株です。当店の株より元気そうです。きっと香りも素晴らしいことでしょう。

暖地での栽培には少し困難が伴いますが、福岡県でこのように良い状態でお育てなのは見事だと思います。

許可を頂き、掲載させていただきました。有難うございました。