バジルまだですか

気がつくともう4月の20日。小さな体に対してとても大きなランドセルを背負った子供たちが登校する姿も、ようやく見慣れてきた。ゴールデンウィークも目の前だ。

とはいえ、3月半ばぐらいから気温がそれほど高くない、というか朝など本当に寒いので今が4月の下旬という気分にはなかなかなれない。

それでもこの時期になると例年同様、店頭でも「バジルまだですか」とのお問い合わせが入り始めた。ああ、この季節が来たなぁという気分になる。

通販の方にも同様のお問い合わせが届く(原則として発売予定についてはお答えできない旨お断りしているのだが・・・(笑)。

実際去年など、バジルは6月に入ってからの発売となってしまったので急いでおられる場合は、よそで探していただくしか方法はない。事実、ここ松江のホームセンターでも青々としたバジルが店頭に既に並んでいるとのことだし。

かつては春になるとバジルは二重のビニールハウスに入れ、さらに温床で加温までして栽培していた。

加温環境での育苗は日々の温度の管理もなかなか大変だし、暖かい場所なのでアブラムシなど害虫も早くから顔を見せ始める。閉ざされたビニールハウスの中ではてんとう虫やカマキリなどの天敵を頼みにすることはほぼ不可能。手作業で対応するより他になかった。

それほど苦労しても4月の終わりになんとか(ちょっと頼りない)バジルの苗ができるのがやっとだった。そう、確か最速はもう20年ぐらい前だろうか、今日4月20日に発売したような覚えがある。

この辺のホームセンターに並んでいるバジルは、九州や四国などで栽培されたものと聞く。もともと気温が低いこの地、しかも貧弱な栽培施設では、そんなバジルと競おうとしても、そもそも相手にならない。

それなのに高い電気代を払ってまで1日でも早く育てようとしていたのは若さゆえの意地だったのかもしれない。

だが、これから気温が上がればいくらでも育つ季節になるというのに化石燃料を消費し、多大な手間をかけてまで早く育てることへの疑問をいつの頃からか感じ始めてきた。

以来、バジルについても他のハーブと同様、育つ気候になってから無理せず育てるようになった。

本日(4月20日)のバジル

というわけで、今年の今日4月20日のバジルというと、まだこんな感じである。これでは今年も大きくなるのはずいぶん先になる予感。

というわけで

【バジルをお探しのお客様へ】

以上のように、今年もバジルの発売はまだかなり先になる見通しです。お待たせして申し訳ございません。

お急ぎの方は、暖かい土地ならば種子からスタートしてもすぐにこのバジルを追い越すと思います。ぜひ種子から育てることを試してみてください。また、お近くで育った大きいバジルを植えられても良いでしょう。

それで万一上手くいかなかったら、また当店のバジルをお試しください。その頃にはおそらく大きく育っていると思いますので。

どうぞよろしくお願いいたします。

土の下からこんにちは

冬の間、地面に蓄えられてきたエネルギーが一気に顔をだすようなこの時期だ。ここ一週間ほどで近所の方、そしてスタッフから、いくつもたけのこをいただいた。自家菜園のアスパラもようやく顔を覗かせるようになった。

ハーブの仲間も同様で、冬の間、昨年の葉が枯れて哀れな姿になっていたコンフリーも葉が出てきたかと思ったらあっという間に花を咲かせた。この時期は朝夕の低い気温せいだろう、花のピンクがとても鮮やかだ。

コモンコンフリー
春は特に色鮮やかなコモンコンフリー

苗も徐々に土の下から葉をのぞかせ始めている。結構毎年心配しながら冬越しをしているアフリカンブルーバジル。

毎年この芽をみるとほっとする

きっちり防寒しない(する場所が十分に確保できない)ので、1/3ぐらいは芽を出さすに終わってしまうこともあるが、大抵はこのように、株元から新芽が出てくる。しっかり防寒していると枝からも芽が出るのだが、伸びすぎた枝はいずれは剪定して形を整えることになるので、こちらの方が都合は良い。

寒さに強いとはいえ、それでも心配するのが、ホップの苗。寒さに強い分、地上部はすっかりなくなってしまうので、やはりこの時期新芽が確認できると安心する。

春になって地面の下から葉が出てくるような種類の場合、特に斑入りの種類には注意が必要だ。ゼラニウムは、斑入りや葉の形が変わった種類の場合、斑が消えたり、元の姿に戻りやすい。

春に斑がない葉が出ることがあるシルバータイム

タイムもこのシルバータイムや、斑入りのレモンタイムなどは、グリーンにもどりやすい。もちろん、斑が入っていない方が、葉緑素も多いので成長が早いから、斑入りの枝の方を圧倒してしまいがちなので、早めに剪定してしまう。

斑入り系でもまず安心なのが、ゴールデンホップ。

ゴールデンホップ 。春一番の葉から黄色味がかっている

これだけは本当、今までグリーンの葉に戻ったことがない。安定しているのだろう。まだ日差しはあまり強くないので、日陰にまで置く必要はないが、一時的でも極端に水切れすると一気にシワシワになりやすい。水やりにはこれから注意が必要だ。今まで何度かそれで発売延期にしてしまったこともあるし・・・。

適切な株数

ときどき、◯◯は何株植えるといいですか。という質問をいただくのだが、正直、答えるのがとても難しい。

育て方や環境、使い方によってもずいぶん違う。ローズマリーのように地植えで大きく育てば、一株で十分な種類もある。いっぽうでバジルのような種類は、その家によってもかなり違う。とあるおうちでは毎日のように消費するので畑に10株あっても足りないそうだ。あまり使わない家庭なら1株でも楽しめそうだし。仕方がないので、バジルなら一人一株を目安にというような曖昧な答えにならざるを得ない。

極端なのはローレルのような種類で、初期の成長が遅いので葉を収穫できるまでは年単位でかかるが、地植えにして大きくなりはじめると毎年の剪定に困るぐらいだ。背丈を越えるような株になると、とても食べて消費することは現実的ではない。リースやスワッグなどで贅沢に消費するぐらいだろうか。

そもそも、アドバイスをする側の本人でさえ自家用の菜園では毎年何をいくつか植えるかで悩み、失敗ばかりしている。特に夏野菜が問題だ。種類が多いし、場所は限られている。その上成長も速いのでなんでもかんでも植えることはできない。きゅうりとプチトマトだけはここ数年、植える数が確定してきたのだが、他はまだまだ。今年は特に植え付けが遅れたせいで、3株植えたシシトウもほとんど収穫できずにいる。一昨年は、同じ数でもうんざりするほど収穫できたのに。

バジル
雨が少ないので、葉が硬くスパイシーな香り。花芽も上がってきてしまった

バジルも今年は5株植えたのが、雨がとても少なくて成長があまり良くなかった。例年、バジルペーストを何瓶も作れるほど収穫できるが今年は生食のみになりそうだ。

逆にうまく育たなくて吉とでたのがオクラ。毎年3株を目標に植えるのだが(1株では足りなそうなので2株、それに枯れるのを見越して予備に1株)、いつも持て余し気味だ。急成長するオクラは大きくなりすぎると硬くて美味しくないので毎日のチェックが必要だし。

それが今年は、やはり植えるのが遅すぎて未だ腰ぐらいのサイズ。その上一株は枯れてしまった。もう一株は生育不良。結果として1株だけが育っている状態となった。

それでも、2~3日に一度数本のオクラが収穫できる。食卓にも時々載るぐらい。これがちょうどいい。どうやら一株を丁寧に育てるのが良さそうだ・・・とかいいながらまた来年も3株植えちゃうんだろうな。

寒いGWのスタートと苗たち

ゴールデンウィークがスタートしたが、ここ数年で稀に見る気温の低さ。

今朝も作業の取りかかりは防寒用にパーカを羽織らねばいけなかった。

天気がいいので最後に残った作業場の薪ストーブを片付けようとしたら、スタッフの一人が「昨日の夕方寒すぎて点けた」という。確かに我が家でもストーブをつけていたぐらいだから、片付けはもう一週間先延ばしにすることにした。

白花モッコウバラ

畑の端にある白花モッコウバラも、もう一歩まで蕾が膨らみながら咲かない。

白花モッコウバラ
4月12日の白花モッコウバラ

4月の12日にこんな感じだったので、GWを待たずに咲くのではという感じだったのだが、その後、気温が高い日が少なかったのだろう。

そういう調子なので、苗の育ちも非常にゆっくりだ。

バジルの苗

毎日のようにお問い合わせをいただいているバジルもまだこんな調子。少し前「GWが終わった頃には・・・」と答えていたのだが、それも怪しい。何年か前、4/20頃に発売したことがあるが、嘘のようだ。

先週、スタッフミーティングで「去年はもうレモンヴァーベナやレモングラスを発売していた」という話が出ていたのにこれも今年はまだまだ。

レモンヴァーベナもようやく枯れ枝から新芽が出てきてもう一歩。例年ならもう枝が3倍ぐらいに伸びている。レモングラスもまだ葉の伸びが弱々しい。

レモングラス

高い気温が好きなものだけではなく、冬に地上部がなくなって春に伸びてくるホップも普段の年よりのんびりとしている。

ホップなかにはまだ膨らんだ芽が地際に見えてきたというぐらいの株もあったりする。

もちろん、加温したり、ビニールハウスを密閉して温度をあげればもっと早く育てることはできるのだが、それは「病害虫さんいらっしゃい」と同じことなのでじっと我慢して気長に待っている。(ブログを見ていただいている皆様も、気長に待っていただくことになりそうです。暖かい地域の方は、お近くで手に入る苗をお求めいただいた方がいいかもしれません。)

一方で涼しいのが好きな種類は絶好調。

暑さや群れに弱い、レッドセイジ、ゴールデンセイジもおもわずニヤニヤするぐらいいい調子だし、イタリアンパセリやチャービル、コルシカンミントなども気持ちよさそうに育っている。

イタリアンパセリ

チャービルコルシカンミント

今年のGWは、涼しいのが好きな種類が満喫しているようだ。

代役

前の冬、突然訪れた激しい寒波。そんな時に限ってアフリカンブルーバジルの親木をしっかり確保していなかった。おかげで今年の春は一本だけ残った親木から増殖を始めるはめになり、大変だった。

その反省をもとに、9月初め、越冬用の親木を鉢植えにした。普段なら親木は一本植えにすることが多い。ただ、ちょうど適当な鉢が見つからなかったのと、どうせ冬前に刈り込んでしまうので横長のプランターに三本植えとした。

残暑の中順調に育ち、10月に入る頃から開花を始めた。そのままビニールハウスで冬を越させるつもりだったが、ちょうど店頭のディスプレイ鉢がコガネムシの被害にあい、植え替えのため一時圃場へ「入院」することになった。せっかく咲いている花なので、たくさんの人に見てもらえればと、急遽代役として登場させたのである。

アフリカンブルーバジル

アフリカンブルーバジルは葉の香りは料理用に一歩も二歩も劣るとはいえ、結構寒くなっても傷まない葉と、長持ちする花を利用しない手はない。また、置き場所の壁の色が良い背景となって思ったより良い感じになった。南向きで強い風も当たりにくいから、かなり遅くまで代役を演じてくれるはず。ただ、急激な寒さで去年の二の舞になることだけは避けなければ・・・。