冬の星

山陰の冬は灰色が支配する。もう少し降雪が多い地方なら白が支配するところだろうが、松江の近辺では積雪しても長く残る事は少なくなった。空は灰色、海も灰色、田畑もグレーが目立つ。

白に支配される冬も相当辛いだろうが、灰色に支配されるのもまた強い精神力が試される。

そんな中で明るい色の存在は貴重である。無加温とはいえ、そこはビニールハウスの中、例年なら年が明けてからでないと開花しないスイートワットルが一輪咲いて、ほのかな香りとともに周囲を明るくしている。

スイートワットル

気温が低いので、香りもそれほど強くは無いが、他の香りが少ない中、僅かの香りでも、近くを通ると甘く感じる。重く沈んだ気分を少しでも照らしてくれるグレーの中の貴重な星のような存在である。

松江なら地植えもおそらくできるはずなのだが、今まで2度ほど失敗していて、その後試す気にはならず、この株は鉢植えである。

鉢植えといっても、そこはアカシア。既に背丈ぐらいの株で少々邪魔になりつつある。その上トゲもあったりするので、時々引っ掛かる。三度目の正直で春になったら地植えしてみようか・・・。冬の星も見納めかも知れない。

春に向けて

冬を前にしたアカシアを見ると毎年のように感心させられる。しっかりと硬いつぼみを結び、来るべき春に備えている。そして、必ず春はやってくるという希望を私たちに与えているように思う。

サンカクバアカシア

こちらはあるお客様のお庭のサンカクバアカシアの蕾。今年は例年になくしっかりした蕾ができているように思える。蕾はかなり早くから形成されるようで、夏以降の剪定は危ない。ボーダーラインは見極めていないけれど、花が終ったら早めに形を整えるように剪定すると安心である。

ここ山陰では、アカシアの越冬はほぼ大丈夫のようだが、むしろ強風や雪による枝折れ、夏は台風の際など根の持ち上がりに気を付けないといけない。この株も何度も枝が折れてしまったので今年は早めに対策を施す予定である。すてきな春が迎えられるように。

春風に揺れて

「春は黄色い花が多い」と何かで読んだ。思えばたしかにその通りだ。桜に代表されるピンクとともに、イエローは春に良く似合う色だろう。

ところが、個人的にはあまり好きな色ではない。服はもとより、あまり身の回りに置かない色である。金運が良くなるからと黄色の財布を持つ気などさらさら起きない。育てる花も、黄色のものはかなり少ない方だと思う。

それでもアカシアの黄色はとても好ましく思えてしまう。一つ一つの花のとても繊細なことやさわやかな春の風にそよぐ姿など、アカシア全体に魅かれるのかも知れない。

サンカクバアカシア

さて、そのアカシア、何百種類もあると言われ、数十メートルに達する種類から背丈にも満たないコンパクトな種類も有るらしい。ただ、実際に育てやすい種類となると、残念ながらかなり選択肢は狭まってしまうように思う。

庭木として良く使われるギンヨウアカシアなどは比較的扱いやすい種類だろう。フサアカシアは、松江でも寒さに耐え、ものすごいスピードで大きく育ったことがある。あっという間に5メートル、6メートルと伸びていき、その時にはさすがに困ってしまった。あまり安易に植えると後悔すると思う。

サンカクバアカシア

さて、今お気に入りなのがサンカクバアカシアである。それほど大きくならず、形的にもまとめやすい。花には爽やかな香りがある。といっても鼻を近づけなければ分からぬ程度なのだが。

サンカクバアカシア

この辺りでは、雪によってやや折れやすいことが心配なくらいだろう。また、アカシアを育てる上で共通の悩みがある。挿し木増殖が困難で種子で増やさざるを得ないことだ。だから毎回種を蒔くたびに思うのだ。あんなに大きくなる植物がどうしてこんな小さな種子から・・・と。